基礎知識 ── AIの「記憶」とMarkdown
AIには記憶の容量があります。まずは「どれだけ覚えられるか」と、AIに伝わりやすい書き方「Markdown」を押さえましょう。
生成AIの入力・出力制限を知る
AIには 「コンテキストウィンドウ」 という記憶容量があります。ここに収まる範囲が、AIが一度に扱える情報量です。
| モデル(2026年6月時点) | コンテキスト容量 | おおよその文字数 |
|---|---|---|
| GPT-5.5 | 1.05M トークン | 約79万文字 |
| Gemini 3.1 Pro | 1M トークン | 約75万文字 |
| Claude Opus 4.8 | 1M トークン | 約75万文字 |
2026年、コンテキストは一気に5倍へ
2月までは約20万トークンだったものが、現在は100万トークン(約5倍)に急拡大。「情報を贅沢に渡せる時代」へ変わりました。
- 情報は最小限に絞る
- 関連ファイルだけ厳選して渡す
- 指示は短くシンプルに
- 迷ったら多めに渡す方が良い結果に
- 周辺情報・背景も含めて渡す
- 目的・背景・条件を構造化して丁寧に
「読めればOK・書けなくてOK」
Markdown(マークダウン)はAIに伝わりやすい書き方。とはいえあなたが手で書く必要はありません。 Claude Codeが自動で作ってくれます。「読めればOK」で大丈夫。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
# | 大見出し |
## | 中見出し |
### | 小見出し |
- | 箇条書き |
**◯◯** | 強調 |
「ただの文章」より「構造」でAIに伝わる
同じ内容でも、階層構造にするだけでAIの理解度が上がります。並べて比べてみましょう。
先月のデータで担当者別の売上レポートを作ってほしい。グラフも付けて、PDFで出して。
→ 条件と出力が文章に混ざり、AIが要素を取りこぼしやすい。
実践フロー ── 続きから再開できる仕組み
CLAUDE.mdとROADMAP.md、そしてGit。この3つがあれば、会話が途切れても「続きをやって」で再開できます。
CLAUDE.md / ROADMAP.md ── Claude Codeへの「お願いメモ」
プロジェクトのフォルダにこの2ファイルを置くと、Claude Codeが毎回はじめに自動で読み込みます。 毎回イチから説明する必要がなくなります。
| ファイル | 役割 | 書く内容 | 更新頻度 |
|---|---|---|---|
| CLAUDE.md | 司令塔 | プロジェクトは何で、どう進めるか | あまり変わらない |
| ROADMAP.md | 進捗ボード | 今どこまで・次に何をするか | どんどん変わる |
まず「作って」とお願いするだけ
中身はClaude Codeが書いてくれます。あなたはやりたいことを伝え、最後に「2ファイルも作って」と添えるだけ。
ファイル形式は「.mdだけ」覚えればOK
拡張子はたくさんありますが、あなたが目にするのは .md だけ。他はClaude Codeが自動で扱ってくれます。
| 形式 | 中身 | 誰が扱う |
|---|---|---|
| .md(Markdown) | 人もAIも読みやすいメモ・指示書 | あなた & AI(CLAUDE.md・ROADMAP.md) |
| .csv | Excelのような表データ | Claude Codeが自動で扱う |
| .json | アプリが使うデータ・設定 | Claude Codeが自動で扱う |
コンテキスト管理のフロー
Claude Codeは、この4段階をぐるぐる回しながら作業を進めます。だから「途切れても続きから」ができます。
学習に使わせない設定(オプトアウト)
個人プラン(Free / Pro / Max)では、入力データを学習に使わせない設定ができます。機密情報を扱う前に確認しておきましょう。
Git ── ファイルの「セーブ機能」
Gitはファイルのバージョン管理の仕組み。ゲームのセーブのように、いつでも過去の状態に戻せます。
| こんな困りごと | Gitがあると |
|---|---|
| 編集を失敗 → 戻せない | いつでも過去の状態に戻せる(コミット=セーブポイント) |
| いつ何を変えたか不明 | 変更履歴が全部残る |
| チームで上書き事故 | 変更を安全に統合(ブランチ・マージ) |
Gitでセーブ、GitHubでバックアップ・共有
よく似た名前ですが、役割が違います。セットで使うと、失う心配なく安心して開発できます。
PC上のバージョン管理。ゲームのセーブ機能のイメージ。
- コミット = セーブする
- 履歴が残る
クラウド上のバックアップ・共有。クラウドにセーブするイメージ。
- プッシュ = クラウドに送る
- プル = クラウドから取り込む
ブランチで「上書き事故」を防ぐ
複数人で作業しても大丈夫。「ブランチ」で作業場所を分ければ、お互いの変更がぶつかりません。
- 1ブランチで分ける ── 上書き事故を防げる。
- 2dev/自分の名前 ── 自分専用の作業場所で進める。
- 3小さく確認しコミット ── 動作確認しながらGitでセーブ。
- 4完成確率アップ ── 複雑なアプリも安全に作り込める。
拡張機能・応用 ── AIの能力を広げる
MCP・CLIツール連携・スキル。3つの仕組みで、Claude Codeにどんどん新しい能力を追加できます。
拡張機能は大きく3カテゴリ
「できること」を増やす仕組みは、この3つに整理できます。まず全体像をつかみましょう。
| カテゴリ | ひとことで言うと |
|---|---|
| 5.1 MCP | 新しい能力を追加するプラグイン |
| 5.2 CLIツール連携 | CLIツールで能力を広げる |
| 5.3 スキル | 指示をパッケージ化し、誰でも同じ品質で |
Claude Codeにブラウザを触らせる
原則は「ブラウザで確認して」と頼むだけ。 自動でブラウザを開いて操作してくれます。方法は2つあります。
- 自分のChromeをそのまま操作
- ログイン済みサイトも使える
- Chromeウェブストアで「Claude Code」拡張を入れるだけ
- 自動操作用ブラウザを立ち上げて操作
- VS Codeで指示するだけ
- 繰り返し作業の自動化に強い
MCP ── AIに「新しい能力」を追加する
MCPは、スマホにアプリを入れて新機能が使えるのと同じ発想。Claude Codeに新しい能力を追加する仕組みです。
| 視点 | 内容 |
|---|---|
| 一言で | Claude Codeに新しい能力を追加する仕組み |
| 例えると | スマホにアプリを入れて新機能が使えるのと同じ |
| 変化 | PC内のファイル操作(従来)→ PC外のサービスにもアクセス可(新) |
- PC上のファイル操作のみ
- PC上のファイル操作
- + Slack・Notion・Granola などにもアクセス
「設定して」と聞くだけ
設定ファイルはAIが自動で作ってくれます。あなたは頼むだけ。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 聞く | 「SlackのMCPを設定して」と指示する |
| 自動作成 | 設定ファイルが自動で作成される |
| 設定場所 | ~/.claude/settings.json にMCPサーバー情報が追加される |
| 必要なもの | API keyやOAuth認証など、MCPごとに異なる |
Google連携を設定してみよう
Calendar・Gmail・Driveと連携する例です。「鍵を作る → 鍵を使う」の2段階で考えると分かりやすくなります。
| ツール | 役割 | やること | 頼み方(プロンプト) |
|---|---|---|---|
| 1. gcloud CLI | 鍵を作る | GCPプロジェクト作成・API有効化・認証情報発行(許可設定) | 「gcloud CLIをインストールして、GCPプロジェクトを作成し、Google Calendar・Gmail・Drive APIを有効化してください」 |
| 2. @googleworkspace/cli | 鍵で使う | Calendar・Gmail・Driveのデータ取得・操作 | 「npm install -g @googleworkspace/cli を実行して、Google Calendar・Gmail・Driveと連携できるように設定してください」 |
あとは日本語で頼むだけ
連携が終われば、いつも通り自然な言葉で指示するだけで動きます。
| こう頼むと | こうなる |
|---|---|
| 「今日の予定を教えて」 | Calendarから予定を取得して表示 |
| 「明日14時に会議を入れて」 | Calendarにイベントを作成 |
| 「先週の未返信メールを一覧に」 | Gmailから検索して整理 |
スキル ── 指示を「パッケージ化」する
スキルは、AIへの指示をパッケージ化し、誰でも同じ品質で実行できるようにする仕組みです。
| 観点 | スキルなし | スキルあり |
|---|---|---|
| 使い方 | 毎回自分でプロンプトを書く | AIが状況に応じて自動で適用 |
| 品質 | 書く人でバラつく | 常に同じ |
| 共有 | コピペで共有 | ファイルを1つ置くだけ |
最初からExcel・PowerPoint・Word・PDFが使える
Claude Codeには、資料作成のスキルが最初から組み込まれています。頼むだけで、書式まで整った成果物が完成します。
| こう頼むと | こうなる |
|---|---|
| 「売上データをExcelで、グラフ付きで」 | 数式・書式・グラフ付きExcelを自動生成 |
| 「この内容でPowerPointを」 | レイアウト・デザイン付きスライドを生成 |
| 「議事録をWordで」 | 書式付きWordを生成 |
共有できるから、どんどん増える
組み込み以外にも、他の人が作ったスキルを使ったり、自分のスキルを作って共有したりできます。
- マーケットプレイスやGitHubで2,300以上公開
- インストール後は自然言語で指示するだけ
- よく使うプロンプトを保存
- チームで共有できる
もう一歩先の使い方
ここからは応用編。スマホからの操作や、AIをバックグラウンドで働かせ続ける機能を紹介します。
| 機能 | できること |
|---|---|
| 6.1 Remote Control | スマホからPCのClaude Codeに指示(公式) |
| 6.2 定期実行 & Background Agents | AIをバックグラウンドで働かせ続ける |
スマホからPCのClaude Codeを操作
外出先からスマホで家電を操作するように、移動中でもスマホから指示・確認・承認ができます。
| 視点 | 内容 |
|---|---|
| 一言で | PCで動くClaude Codeを、スマホのClaudeアプリから操作できる公式機能 |
| 例えると | 外出先からスマホで家電を操作する感覚 |
| 変化 | 移動中にスマホから指示・確認・承認できる |
まず知っておきたい「料金の重要な変更」
バックグラウンド機能には、通常の対話とは別の料金体系があります。ここは最初に押さえておきましょう。
・Maxプラン($100/月)=毎月$100分を付与/毎月リセット・繰越なし/中規模タスク約250回/月が目安。
・ターミナル / IDEでの通常対話は従来どおり定額・影響なし。
「毎朝9時に◯◯して」と頼むだけ
スケジュール設定の知識は不要。頼めば、OSや環境に応じて最適な方法をAIが自動で設定します。Gmail送信やSlack通知も、プロンプトに書けばOK。
| 活用例 |
|---|
| 毎朝9時に売上集計レポート |
| 毎日18時にメール未読まとめをSlackへ通知 |
| 毎週月曜に競合価格をExcelに |
AIが「裏で」働いてくれる
指示したら別作業をしてOK。AIが裏で処理を進め、終わったら結果を返してくれます。複数のタスクを並行できるのが強みです。
| 観点 | 従来 | Background Agents |
|---|---|---|
| 動作 | 1タスクずつ待つ | 複数タスクを並行 |
| 速度 | タスク数 × 処理時間 | 最も長いタスクの時間だけ |
レポート作成10分 + データ集計5分 = 15分
10分で両方完了(長い方の時間だけ)
AI時代の展望 ── 考え方編
ここからは「どう活かすか」。ツールは変わり続けても、価値のある考え方は変わりません。
ツール編から、考え方編へ
価値があるのは「AIと協働する思考法」
- 特定ツールの操作方法
- ツール名・価格
- 機能の細かい仕様
- 買収後のUI変更
- 何を作りたいかを定義する力
- AIに指示を出す構造的な考え方
- プロンプトの設計思想
- 人間とAIの役割分担の原則
「作業する人」から「AIを統括する人」へ
これは未来の話ではありません。すでに数字として、大きな変化が起きています。
収益増加に貢献
生成AIが収益増加に貢献したと答えた企業の割合。
投資を増やす
AI自動化への投資を増やすと答えた企業。
平均ROI
AI投資の平均的な投資対効果。
生産性向上
人間+AIチームでの生産性の伸び。
日本は「追いつくタイミング」
世界と比べると、日本にはまだ伸びしろがあります。だからこそ、今が動きどきです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 中国 個人利用率 | 81.2% |
| 米国 個人利用率 | 68.8% |
| 日本 個人利用率 | 54.7%(前年29.0%から急増) |
| 日本企業の生成AI導入率 | 64.4% |
| 日本企業のAIエージェント導入率 | 29.7% |
出典:ICT総研/各社調査(2026年2月)、日経xTech(2026年)
非エンジニアが最初に活かせる業界
繰り返し・帳票・記録が多い分野ほど、AIの効果は絶大。すでに具体的な削減事例が出ています。
| 領域 | 用途 | 具体例 |
|---|---|---|
| 医療・介護 | 記録・レポート自動化 | 訪問看護記録1件30分 → 5分(月間29,000時間の削減余地) |
| 建設・製造 | 見積・施工管理・安全管理 | 見積書2時間 → 20分、杭打ち安全チェックAI |
| 商社・貿易 | 在庫管理・発注・価格交渉支援 | 在庫アラート自動化・多言語契約書レビュー |
| 法律・会計 | 契約書レビュー・税務処理 | 顧問費の一部をAIが代替 |
| 経理・バックオフィス | 経費精算・請求書処理 | AI-OCRで入力工数85%削減(TOKIUM, 2026) |
| 金融・銀行 | 契約書審査・レポート作成 | 三菱UFJ信託 年間6.5万時間削減/三菱UFJ銀行 月22万時間削減(試算) |
| コンサル・調達 | RFP対応・データ分析・提案書 | NTTデータ RFPチェック期間 約60%短縮 |
「作業する人」から「AIを統括する人」へ
生成AIを前提にすると、仕事の「主体」も「評価基準」も変わります。役割そのものが変化します。
| 観点 | これまで | これから |
|---|---|---|
| 作業の主体 | 人間が実行 | AIが実行 |
| 専門性 | 1分野を極める | 複数領域を横断して統括 |
| 処理方法 | 1つずつ順番に | 複数AIを並列で同時に |
| 評価基準 | ツールを使いこなす人 | AIに的確な指示を出せる人 |
「積み上げ」から「使いこなす力」へ
これまで武器だったものと、これから武器になるものが入れ替わります。
| # | これまで | これから |
|---|---|---|
| ① | 資格・経験年数 | 好奇心・適応力 |
| ② | 作業スピード | 判断力・課題設定力 |
| ③ | 専門知識の深さ | 領域を跨ぐ統合力 |
この研修で目指すこと
最終的にあなたが立つのは「実行者」ではなく「統括者・判断者」のポジションです。
AIを「作業者」に
AIエージェントを作業者として活用できる。
統括する
複数領域を統括するオーケストレーターとして指示出しができる。
資産を作る
長期的にビジネス価値のある資産を自ら作れる。
実践プロンプト集
そのままマネして使える、B-2の総まとめプロンプト。困ったらここに戻ってきてください。